講演会情報

2014 大阪府内科医会市民講座 楽しく食べて美しく健康に

2014年 2月9日 大阪府内科医会 市民講座 女性と医師の語り合う会

「楽しく食べて美しく健康に」をテーマに講演をしました

以下は講演内容の大阪府内科医会ニュースからの抜粋です

はじめに昨年、和食が健康長寿食として評価され世界文化遺産に登録された一方、日本人の現実の食生活は芳しくなく肥満、糖尿病の増加からその健康度は米国並みの評価であると紹介。 美しく健康であるためには、まず血管の老化を防ぐことが必要であり、具体的には高血糖状態によりタンパク質が糖化し蓄積するAGE(最終糖化産物)の蓄積、体内の活性酸素の増加、LDLコレステロールの蓄積が全身の血管障害や皮膚、骨の老化、動脈硬化の進行に結び付くとした。

それらを防ぐいわゆるアンチエイジングな食生活とは「血糖値を上昇させず、活性酸素を増加させない食生活」が重要で、とくに脂肪酸の種類に気を配るべきだと述べた。動物性脂肪など飽和脂肪酸を避けて、オリーブ油、EPA/DHAなど不飽和脂肪酸が望ましいことは知られているが、「不飽和脂肪酸を加工したトランス脂肪酸もLDL-コレステロールを上げ動脈硬化を促進することが明らかとなり欧米ではその使用が制限されている」と注意を促した。トランス脂肪酸は従来マーガリンやショートニングなどに多く含まれていたが本邦でも、最近は含有量の少ないものも販売されているという。

また、高齢者では肉は不健康と考える向きがあるが、「動物性脂肪は良くないが、赤身肉は良い。肉を避ける食生活は筋肉量が減少してサルコペニアとなり転倒、骨折などを引き起こしたり、また糖尿病にもなりやすい」と警告した。さらに野菜は「1日350g」の摂取が理想的で、「赤、黄、白、緑、青、黒」の色でそれぞれ、抗酸化物質、ミネラル、ビタミン、食物線維など含まれる栄養素が異なるため、彩り豊かに野菜を摂取することを勧めた。

一方、炭水化物の摂取ではグライセミックインデックスを紹介。同じカロリーでも血糖値が上がりにくい食物があり、「基本的には白飯や白パンより、玄米や胚芽パンの方が血糖値が上がりにくい」と述べた。

続いて間食の取り方についてアドバイス。「食べるなら昼食後のデザートがおすすめ、もしくは午後3時まで。食べた後はウォーキングや家事でエネルギー消費を」と述べるとともに、「手ばかりで片手に乗る程度の量にする」、「安くて量のある菓子を毎日食べるより、高くて美味しい菓子を2日に1回にする」といった間食のコツを伝授した。 また、清涼飲料水には多量の糖分が含まれることは周知だが、野菜ジュースにも多くの糖が含まれるものも多く、カロリー0のダイエット飲料も多飲する人では肥満傾向にあるという報告を紹介し注意喚起。

さらに、食べる順番にも言及、今までも先にサラダを食べてから白米を食べる方が、その逆で食べるより血糖値上昇が緩やかであることは知られていたが、「最近の研究で、魚を先に食べてから白米を食べると腸管よりインクレチンホルモン分泌が促進されインスリン分泌が増強され血糖値が上がりにくい」と紹介し、「子どもは食育の観点からこのような食べ方は勧められないが、大人なら野菜、魚、肉、炭水化物の順番が良いのでは」と話した。また、「夜は脂肪をため込むBMAL-1が増加したり交感神経系の活動が低下するため脂肪燃焼効率が悪く太りやすい」と夜間の大食を戒めた。1日1400kcalのダイエットで、朝食をしっかり食べた場合と、夕食をしっかり食べた場合の比較したところ、朝食をしっかり食べる方が、ダイエット効果が大きく、空腹感も少なかったとして、朝食重視の食生活を提案した。