肥満の薬物療法

抗肥満薬物療法

  • 抗肥満薬(食欲抑制剤):マジンドール(商品名:サノレックス)
  • 抗肥満薬:消化管リパーゼ阻害剤
  • 糖尿病薬:メトフォルミン
  • シブトラミン

抗肥満薬(食欲抑制剤):マジンドール(商品名:サノレックス)

現在、日本で認可されている唯一の薬剤ですが、誰にでも使用できるというわけでなく保険適応は高度肥満患者さんです。数例に使用してみましたが残念ながらあまり効果的というインプレッションはありませんでした。主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており,依存性がでることがあります.また,数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告もあります
【作用】
食欲中枢への直接作用及び神経終末におけるノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンを介した機序により摂食抑制作用を示すとともに消化吸収を抑制することにより摂取エネルギーを減少させ,肥満を是正すると考えられています.
【適応】
あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)が対象です。
【禁忌】
1)本剤の成分に過敏症の既往歴
2)緑内障(眼内圧が上昇)
3)重症の心障害(症状悪化)
4)重症の膵障害(インスリン分泌抑制作用を有する)
5)重症の腎・肝障害(代謝又は排泄が遅延)
6)重症高血圧症(カテコラミンの昇圧作用を増強)
7)不安・異常興奮状態(中枢興奮作用を有するので興奮状態を増悪)
8)薬物・アルコール乱用歴(一般に依存性,乱用が起こりやすい)
9)精神分裂病(外国で高用量で精神分裂病の症状悪化の報告)
10)MAO阻害薬投与中又は投与中止後2週間以内の患者(相互作用参照)
11)妊婦又は妊娠の可能性
12)小児
(能書より抜粋)

抗肥満薬:消化管リパーゼ阻害剤

現在、日本ではまだ認可されていませんが、欧米ではオルリスタットという薬剤が抗肥満薬として効果があるという研究結果が英国の一流医学誌であるランセットに報告されています。日本でもオブリーンという名前でいよいよ発売になります。適応はDM、脂質異常を合併した肥満患者。
作用:食物内脂肪の吸収を約30%減少させる。
18歳以上の肥満男女473名に低カロリー食(必要カロリーから600kcal引いた熱量)を行いながら、プラセボ群とオルリスタット(120mg/日)群を2年間にわたり観察したところ、オルリスタット群で明らかに体重減少、コレステロール、中性脂肪の減少が認められた。(lancet 1998, 352 167-173)

糖尿病薬:メトフォルミン

メトフォルミンは、肝臓での糖の新生を抑制、筋肉での糖の取り込みを促進する作用がある糖尿病薬ですが、食欲抑制作用もあり、体重増加を抑える作用が報告されています。肥満糖尿病の方には有用です。

メリディア(一般名:sibutramine)日本未発表

最近、インターネット上でも個人輸入代行などでよく知られている薬です。これは、脳に働き、セロトニンの働きをすることで食欲を抑える薬剤です。一種の抗うつ薬です。食習慣を変えずに1ヶ月で5kg減量できるなどとうたい文句で宣伝がでています。ほんとのところはどうでしょうか? 確かにこの薬は、欧米で市販されており、数多くの臨床試験の研究報告もでており、確かにある程度効果があるとされています。また、副作用も不眠、いらいら感、焦燥感などがでるようですが、その頻度はあまり高くないとされています。
現在までの報告を見ますと、120~180%の肥満者を対象とし治療期間は8週間前後で、プラセボ(偽薬)で1kg前後の減量であったのに対し1日10mg以上を服用した群では平均5kgjほど体重減少が認められたということです。
しかし対象は結構な肥満者ですので、体重60kgの人が55kgになった訳ではなく、まあ体重100kgの人が95kgに改善したという感じです。ここに数字のマジックがあると思います。基本的には食事療法、運動療法を実行しながら補助に使用するという使い方が必要でしょう。使用するには医師に相談されることをおすすめします。
GLP-1作動薬
コレステミド