糖尿病とはどんな病気?

糖尿病とは?

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの量的不足または作用不足により、血液中のブドウ糖の利用が低下し、その結果、血糖値が上がる病態をいいます。この高血糖を長期間放置しておくと身体の色々な場所に合併症といわれる障害が出現します。

インスリンとは?

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インスリンは膵臓のランゲルハンス氏島にあるB細胞から分泌されるホルモンです図のように膵臓を顕微鏡で拡大すると紫色の消化液を作る外分泌腺の中に小島のように浮かぶピンク色に染まる内分泌細胞の固まりがあります。これをランゲルハンス島(ラ氏島)と呼びます。このラ氏島内にB細胞と呼ばれる細胞からインスリンは分泌されます。

インスリンの働き

インスリンは生物が生命活動を維持するのに不可欠な大切なホルモンで、これが欠乏すると生きていけません。また、インスリンは見方を変えると、大切なエネルギー源のブドウ糖の流れを肝臓から血液中へ、血液中から細胞へと調節しているホルモンです。
以下に示すような働きを介して血糖を調節しています
1.筋肉、脂肪、肝細胞へのブドウ糖の取り込み促進
2.細胞内でのブドウ糖からグリコーゲンの合成を促進
3.肝臓での糖新生および糖放出の抑制
4.肝臓での蛋白合成の促進
血糖値の調節 インスリンによる血糖値の調節
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血糖値は、以下の様に食事からの流入分と肝臓からの放出分のINPUTと筋肉での燃焼、脳での消費、肝、脂肪組織での貯蓄にまわるOUTPUTとのバランスで100mg/dl前後に調節されています。
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インスリン分泌量が減少したりインスリンの作用が減弱したりすると右図のように血液中の血糖が上昇してきます。

インスリンの働き2

インスリンの働きをもう少しミクロの目で見てみましょう。
健康な状態

ins-n-b-159.gif ブドウ糖は血液の流れにのって細胞の手前まで運ばれてきますが、細胞の中へは自由に入り込めません。そこにはドアがあり通常鍵がかかっておりしまっています。しかし、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが細胞の鍵穴(インスリンレセプターと呼ばれています)に差し込まれると、そのドアが開き上の図のように血液中から細胞内にブドウ糖が流れ込みエネルギーとして燃やされたり、蓄積されたります。必要に応じてブドウ糖は細胞内に流れ込みますので血液中のブドウ糖は常にある範囲に収まっています。



糖尿病状態

ins-dm-159.gif インスリンレセプターに結合するインスリンが不足したり、レセプターのインスリンに対する感度が低下すると、細胞のドア(ブドウ糖の取り入れ口)が十分に開かなくなります。その結果、細胞内にブドウ糖が十分流れ込まなくなり細胞内はエネルギー不足に陥る一方、血液中にブドウ糖があふれてしまいます。これが高血糖です。

インスリンの動き

血糖値とインスリン分泌の1日パターン(健常人における1日の変化)
図のようにインスリンは食事量にあわせて分泌され、常に血糖値が一定になるように調節しています。食事にあわせてインスリンが速やかに分泌され、その結果、血中に吸収されたブドウ糖は、筋肉、脂肪組織に取り込まれ、一方、その間、肝臓からの糖の放出は抑制されます。
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糖尿病の分類

一言で糖尿病といってもその原因はさまざまですが2つに大別できます。

病型 1型糖尿病 2型糖尿病
頻度 5% 95%
年齢 若い人に多い 成人に多い (最近、子供も増えている)
発症 突然のことが多い ゆっくり
体型 やせ型 肥満型
治療 初めからインスリン注射 まず食事、運動療法から
原因 ウイルスの感染、自己免疫により膵臓のインスリン分泌細胞が破壊され完全にインスリン欠如する 種々の原因によるインスリンの作用や、 インスリン分泌の低下

日本における成人糖尿病の大半は緩やかなインスリン不足や作用不足が原因の2型糖尿病です。