肥満の薬物療法(研究中)

現在、研究中で今後その効果が期待できるかも知れない薬剤

  1. β3アドレナリン受容体アゴニスト
  2. レプチン
  3. 肥満改善、予防に有効な食品成分
  4. カフェイン
  5. カプサイシン
  6. ガルシニア(HCA)

β3アドレナリン受容体アゴニスト

熱産生を行う褐色細胞の細胞膜上にあるβ3アドレナリンレセプターを刺激する薬剤、熱産生を増加させエネルギー消費をふやすことにより減量を可能とする薬剤です。まだ、臨床応用以前の状況です。

レプチン

肥満抑制物質として注目をあびている物質、動物実験では、肥満抑制効果は証明されているが、人でのこのホルモンの役割については未だ不明な部分も多い。遺伝子工学的につくったレプチンを用いた臨床試験をしたところ大した効果は認められなかったという報告もあります。

カフェイン

動物では褐色細胞の熱産生を刺激することがわかっていますが、臨床的な効果があるかは、はっきりしません。

カプサイシン

唐辛子の成分、痛みの神経をブロックしたりする作用。カフェイン以上に褐色脂肪に作用し、熱産生をあげることが知られています。キムチなどカプサイシンを多量に含む食習慣のある韓国人の体脂肪量は同世代の日本人より少ないというのもカプサイシンの効果ともいわれる。しかし、唐辛子のような刺激物をあまりとりすぎると、味覚異常や胃粘膜を荒らしたりするのでほどほどにしなければなりません。現在のところ、動物実験では確かな効果を示していますが、残念ながら人ではどの程度の量を摂取した際にどの程度の効果がでるのかなどまだ臨床データはありません。今後、カプサイシンの誘導体の開発や、薬としての利用など期待がもたれる成分ではあります。

ガルシニア(HCA)

最近、話題になり錠剤として市販されているものである。ガルシニアという植物の中に含まれるHCAは、細胞レベル、動物実験レベルで褐色脂肪における熱産生を刺激、体重減少を示すことが知られています。ヒトに対する効果も期待できますが最近、アメリカの一流医学雑誌であるJAMAに否定的な論文が掲載されました。
135人の肥満男女(BMI 32kg/m2) を無作為にHCA群(66名)とプラセボ群(69名)に分け、3ヶ月間、高食物繊維、低カロリー食療法を行い体重と体脂肪率の変化を追跡した。 3ヶ月後の体重は治療群ー3.2±3.3kg、プラセボ群ー4.1±3.9kgと有意な差はなく、また体脂肪量についても有意な差はなかったということです。
JAMA 1998 Nov; 280(18):1596-600