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4.細血管障害の発症メカニズム

3大糖尿病合併症の病因はいずれも細血管障害である。この細血管障害がどのように慢性の高血糖により惹起されるのか?は必ずしも明らかになっていないが、以下に述べるような仮説が考えられている。これらの異常が単独で血管障害を引き起こしているのではなく、複数のメカニズムが関与していると考えられる。いずれにしても重要な要因は高血糖であることは共通している。高血糖による細胞内代謝系の障害の生じる部位、すなわち、腎臓のメサンギウム細胞、網膜の細胞、神経細胞などでは細胞内へのブドウ糖取り込みはインスリン非依存性に行われることが知られている。すなわち、インスリンの不足状態でも血液中のブドウ糖濃度が上昇すれば細胞内のブドウ糖濃度が容易に上昇する。細胞内に過剰に取り込まれた糖は解糖系酵素で代謝されるが、それでは間に合わずいくつかのバイパス経路を通って代謝される。このバイパス経路で代謝される際に細胞障害が惹起されると考えられる。