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糖尿病の病因について 2.インスリン分泌不全と抵抗性、グルカゴン過剰

従来糖尿病の病因としてインスリン分泌不全と抵抗性という2つが大きな要因であり単独または相互に関連し糖尿病を発症すると考えられていました。インスリン分泌不全は主に遺伝因子が関与していると考えられ、インスリン抵抗性は過食、運動不足による肥満・内臓脂肪の増加などの環境因子、遺伝因子の両方が関与していると考えられています。 グルカゴンについては25年ほど前には盛んに研究されていましたが最近はあまり注目されなくなっていました。 ここに来てDPP-4阻害薬が登場しグルカゴンの役割が再度脚光をあびています。
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すい臓の中にある小さな細胞の塊、ランゲルハンス氏島と呼びますがここにインスリンを分泌するB細胞とグルカゴンを分泌するA細胞があります。糖尿病ではB細胞からのインスリン分泌が低下し、筋肉や脂肪細胞への血液中のブドウ糖の取り込みが低下し血液中のブドウ糖が過剰になる(=血糖値が上昇)、一方A細胞からでるグルカゴンは相対的に過剰となっています。
グルカゴンは肝臓に働き、肝臓にためているグリコーゲンからブドウ糖を産生し血液中に放出します。 グルカゴンは健康状態では空腹時に分泌され血糖が下がりすぎないように肝臓から糖を放出させ血糖値をささえます。 一方食後は食事から摂取する糖質が血液中に流れ込んでくるので、肝臓からの糖の放出は必要なくグルカゴン分泌は抑えられ肝からの糖の放出をほぼ0となります。 これが糖尿病になると食後にもグルカゴンが出続け、食後の血糖が上昇する一因となります。 ここに大きく関与していると考えられるのがインクレチンホルモンの作用の低下です。