関連情報

3.インスリン分泌のメカニズム

ここではまずインスリン分泌がどのように起こるのか、インスリンが標的細胞(肝、筋肉細胞)にてどのように作用するのかを、そしてそれらの異常を惹起する遺伝子異常や環境因子について解説する。
血液中のブドウ糖は、インスリン分泌細胞の細胞表面に発現するGLUT2というトランスポーター(運び屋)によって細胞の中に取込まれる。

1.細胞内に取込まれたブドウ糖はグルコキナーゼなどの解糖系酵素で代謝、分解されミトコンドリアなどでATPエネルギーを産生。
2.産生されたATPエネルギーは、CAMP経路などを経て、インスリン合成を刺激細胞内のプロインスリン(インスリンの前駆体)が産生。
3.一方、ATPによりATP依存性Kチャンネルを閉鎖し細胞膜が脱分極する。 その結果電位依存性カルシウムチャンネルが活性化し細胞内へカルシウムが流入する。
4.細胞内カルシウム増加により合成されたプロインスリン粒子がを細胞外に放出される。 その際、プロインスリンはインスリンとCペプチドに分離され血中に分泌される。
インスリン分泌障害のメカニズム
糖尿病の場合は、上記のブドウ糖が細胞内で代謝される過程、ATP産生の過程、K依存性チャンネルの異常など、各ステップでの障害が考えられている。