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外来でインスリンを始めるにあたって

インスリン注射についてはいまだにいろいろと誤解があり、治療の開始にあたり不安や戸惑いがあるかもしれません。インスリン療法は、ひとことでいうと体内で不足しているインスリンの補充療法です。 インスリン注射を開始するというのは、必ずしもあなたが重症の糖尿病であると言うことではなく、また、ずっと打ち続けなければいけないというものでもありません。


★インスリン注射の効果:
1.高血糖が改善し糖毒性が解除される。 これによりインスリンの分泌能力の回復や筋肉・肝臓でのインスリン抵抗性が改善する
2.膵臓が休息できるのでインスリン分泌が回復する可能性がある
3.全身倦怠感などの症状が改善する
4.良好なコントロールにより糖尿病合併症の進行を阻止できる


インスリン導入のステップ
まず最初に次のことを勉強します
1.インスリン注射用のペンの使い方
2.実際の注射の仕方
3.血糖自己測定のやり方
外来でのインスリン注射は次の3つのステップに分けれます。
ステップ1 (1〜2週間) 少量のインスリンでまず注射に慣れるのが目的
ステップ2 (2〜4週間) ゆっくりインスリンを増量し高血糖の改善を目指す
ステップ3 (4週間〜 ) 注射量と回数を積極的に調節しより良い血糖コントロールを目指す


インスリン注射手技のチェックシート
1)白濁したインスリンは10回以上振ったか?
2)インスリンのゴム部を消毒したか
3)注射針はしっかりねじ込んだか
4)2単位空打ちをしたか
5)ペンのダイアルは正確にセットできたか?
6)注射部位はローテーションしているか?
7)インスリン注射部を消毒したか?
8)注射部をつまんで注入できたか?
9)注入後ひと呼吸おいてボタンを押ながら抜いたか?
10)ダイアルは0まで戻っているか?
11)注入部は揉まずに軽くおさえたか?


シックディ ルール
糖尿病患者さんの場合は、日頃の風邪、下痢、腹痛などちょっとした病気も油断禁物です。特にインスリン治療や飲み薬を飲んでおられる場合は急激にコントロールが悪化したり、場合によっては昏睡に陥ったりすることがあります。なぜ、ちょっとした病気で血糖コントロールが乱れるのでしょうか?それには次のような理由があります。
1)病気のときにはストレスホルモン(副腎ホルモンやアドレナリン)がたくさんでます。これらのストレスホルモンはインスリンの働きを抑え血糖をあげる作用があります
2)下痢や発熱があると脱水になり易く血液が濃縮されます。血液が濃縮されるとその結果、血糖値もあがります。
以上のように、食べれなくても血糖が上がる場合がり、インスリンの必要量もいつもより増加していることも多いのです。食べれないのだけの理由でインスリン注射を自己中断してしまうのはかえって危険です。以下の様な状況のときは主治医に連絡をしアドバイスをもらいましょう。
1.まったく食事がとれない
2.下痢や嘔吐がつづく
3.高熱がつづく
4.尿検査用紙を持っている場合 尿ケトンが強陽性となる
5.尿検査用紙を持っている場合 尿糖が強陽性となる
6.血糖自己測定をしている場合   BS300mg/dl以上がつづく


病気の時のインスリン注射量の目安

食事摂取量

注射量

全量

いつもの量

半分

1/2量

食事不能

1/3量
病気の際は食後に食事量を確認してから注射しましょう。

病気の時の食事について
1)糖質を主体として消化吸収のよいものを
2)水分や電解質をしっかり補給 (脱水予防)
3)味噌汁、スープ、果汁などを取る
とにかくしっかり水分をとりましょう