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糖尿病治療における漢方薬

漢方薬の糖尿病に対する効果については、糖尿病合併症に対して西洋医学的に用いられ一定の効果を示すものがいくつか存在する。 しかしインスリン分泌不全およびインスリン抵抗性を改善し直接的に血糖コントロール状態を改善するものは見あたらないようである。
糖尿病性神経障害に対する漢方
糖尿病合併症の成因には細胞レベルの高血糖による以下の変化が重要である
1.蛋白のグリケーション
2.AGEの沈着による蛋白変性
3.PKC活性の亢進
4.ポリオール代謝経路の亢進
5.ミオ・イノシトール競合阻害による減少
6.Na/K ATPase活性の低下
7.血小板凝集能の亢進
8.線溶系の低下
特に神経障害ではポリオール代謝経路の亢進以下4、5、6が重要である。以下に示す漢方薬ではARI様の効果を示し、しびれ、頭痛など自覚症状の改善が認められる。

 

赤血球内
ソルビトール

血小板凝集能

血小板粘着能

八味地黄丸

牛車腎気丸

芍薬甘草湯

桂枝加尤附湯

疎経活血湯

桂枝伏苓丸

糖尿病性単発性神経障害に対する牛車腎気丸の効果についての検討
対象:
NIDDM 100例 男性55例、女性45例 平均年齢62歳、64歳 糖尿病罹病期間13年、15年
治療:
食事療法単独7%、経口血糖降下剤54%、インスリン39%
糖尿病コントロール状態 HbA1c9.6%、9.4%
方法:
牛車腎気丸を7.5〜5.0g/日を36ヶ月以上投与した。
結果:
投与開始後1ヶ月目で78%の症例で自覚症状の改善が認められた
下肢脱力感72%、しびれ感67%、下肢痛65%、冷感64%、
無効例を検討してみると、下肢のほてり感、灼熱感を主訴とする症例であった。
MCV、SCV、振動覚検査など他覚所見での改善度は有意ではなかった。