糖尿病の治療目標
糖尿病の治療の目標は血糖値を下げることではありません。もちろん血糖値を下げることは大切ですが、最終的な目標としては、糖尿病によって引き起こされる合併症の予防や進展を阻止をし、健康な人と同様の健康寿命をたもつことです。 糖尿病合併症には、まず慢性の高血糖による糖尿病三大合併症(網膜症,腎症,神経障害の細小血管障害:ミクロアンギオパチー)があり、これら合併症の予防のためにHbA1c,空腹時血糖の目標値が決められています。
糖尿病であっても良好な血糖コントロール状態であれば、合併症は進行せず健康な状態が維持できるわけです。糖尿病は糖尿病体質のうえに多くの危険因子が重なり発症します。体質そのものを変えることは現時点ではくの場なn困難ですが、食事、運動療法などによりライフスタイルを改善し危険因子を消去できれば高血糖状態は改善
治療目標は最終的には6%を達成したいものです。 また糖尿病を早く見つけ、より早期から血糖コントロールをしっかりしておくと、高血糖を放置してから治療を開始した人にくらべ、後々も糖尿病の合併症が進行しにくいという「遺産効果:レガシー効果」も報告されています。糖尿病も早期発見、早期治療が大切なのです。
ただし、最近、食事や運動療法が不十分なまま薬物療法で無理矢理さげようとすると低血糖が頻発したり体重増加が認めれ、このためにか、かえって死亡率が上昇したという研究報告がありました。急がず、慌てず、ゆっくり慎重に血糖値をよくすることが大切です。患者さんの状況を見て、その人その人にあわせた目標を設定します。
そこで2013年熊本市において開催された日本糖尿病学会で熊本宣言が採択されました
糖尿病合併症を予防し健康寿命を延ばすためには、まずHbA1cを指標に7%未満を目指しましょう というものです
と同時に7%達成が困難な場合、例えばすでに重症の糖尿病合併症がある方、すでに脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性の病気が進行している方、進行癌がある方、余命の少ない方、低血糖を起こす危険性が高い方などは無理せずまずは8%を目指しましょうというメッセージも出ました。